第5章 ゴールデンウィークの予定は
と思ったら、いきなり及川さんの頭がものすごい音と共に一気に下に落ちていく。
「何やってんだ‼︎‼︎クソ川ぁぁぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎」
「いだぁぁぁぁぁぁぁあい‼︎‼︎」
目の前で繰り広げられているバイオレンスな状況に目をぱちくりさせていれば、及川さんの頭に拳を叩き込んだ相手が私を見た。
「クソ川が迷惑かけた…ってお前、どっかで…」
『あ、私、営業3課の椎名と申します。あの….岩ちゃんさん…ですか?』
私がそう言えば、「岩ちゃん」さんはぽかんとした顔をする。
「ああ、こいつがそう言ったんだな…」
頭を抱え、親指を及川さんに向けた岩ちゃんさんにこくりと頷くと、岩ちゃんさんは私の方を向いた。
「営業4課、岩泉だ。」
『岩泉さんですね?よろしくお願いします。』
「じゃあこいつ、回収していくから。」
『よろしくお願いします。』
岩ちゃんさん…岩泉さんは、及川さんの襟首を掴み、ずるずると引きずっていく。
「じゃーねー梢ちゃん!あと、オオカミくん。」
え?と不思議に思い、周りを見ればいつの間に来たのか隣には月島くん。
『月島くん!』
「やっと行った…」
『いつから…』
「岩泉さんが来たくらいからかな…」
そういうと、月島くんは私の腕を掴み、駅の構内へと歩く。
『え?どこに…?』
そういえば、月島くんははぁとためいきをつく。
「及川さんと岩泉さんが向かった方向に行くの…?」
私と一緒にホテルに入るところを見られたくない…ってことね。
『じゃあどこに…』
「ついて来ればわかる。」
そういうと月島くんは、さっさと改札を抜ける。
わたしは慌てて月島くんの後を追うように急いで改札を抜けた。