第4章 げつようび。
『月島くんごめんなさい。待ちましたか?』
「椎名サン。そんなに待ってないよ?じゃあ連れが来たので…」
スマートな返し。
そして私の肩を抱き、歩き始めた。
「就業時間から30分経ったよ。メイク直してもここまで時間かからないんじゃない?」
『ごめんなさい…灰羽くんがなかなか帰らなくて…』
「ナンパなんて面倒なだけなんだから…さっさと来てもらわなきゃ困る。行くよ。」
駅から少し離れたところで肩を抱く腕が離れた。
ついていけば、見えてくるカラフルなネオン。
そこに入る前に月島くんは振り返り、私を見る。
「ここに入ったら戻れなくなる。逃げるなら今のうち…ダヨ?」
口元を弧に歪めて笑いかける月島くん。
ゆっくり、ゆっくり間合いを詰められる。
あと、3歩で私の前に来る。
私は一気に間合いを詰め月島くんのネクタイをぐいと引っ張った。
『覚悟なんてとっくに出来てる。じゃなきゃここまでついてこない。』
「へえ…面白い。少しは楽しめそう。」
視線がぶつかる。
「じゃあ、行こうか。」