第1章 入社式。
がたんごとんと電車が進む中、私は全力疾走で切れた息を整える。
落ち着いて顔を上げれば、さっき階段で私を追い越して行ったお兄さんがハンカチで汗を拭いていた。
なんで私と階段を走り登ったお兄さんがわかったかって?
そりゃあ、わかるでしょう。
人よりずば抜けて高い身長。
そして、
太陽の光で、キラキラ光るシルバーの髪の毛だったから。
格好いいなぁ…
そう思いながらちらちらとお兄さんを見ていると流石に気づかれたみたいでお兄さんもこっちを見た。
やば…
慌ててぺこりと頭を下げれば、向こうもぺこりと頭を下げた。
「次は〜音駒〜音駒〜」
目的の駅に到着。
こんなイケメンにそうそう会うこともないだろうな…
なんて思いながら私は駅に降りた。
イケメンも一緒に降りた。
あれ?
一緒の駅なの?