第1章 入社式。
ひらり
ひらりと桜が舞う。
パリッとノリの効いたリクルートスーツに身を包み、
私、椎名梢は…
ただいま駅に全力疾走中‼︎
時間に間に合うように早めに駅に向かっていたのに、パンプスのヒールが折れるというコントみたいなアクシデントが起こり、靴屋を探していたら結局ぎりぎり…
今日は入社式だけだからって集合が11時っていう変な時間で助かった…
10時にお店に駆け込んでそれっぽいパンプスを買って、今やっと駅に着いた。
あのヒールがジャストフィットする凹み、なんとかしなさいよ!
そんなことを考えながら改札にペンギン印のICカードをかざし、ホームまで走る。
タイトスカートなんて知ったことか!
遅れたらそちらの方が恥だ!
鞄を抱え1段飛ばしで階段を登る。
やっと真ん中…
そう思った矢先、隣にふわりと風が吹いた。
私の隣をスーツの男性が私よりも素早く階段を登って行った。
身長たかっ!
脚長!
私も必死にその人の後を追う。
私がホームに着いたのと、電車がホームに滑り込んできたのはほぼ同時。
行き先を慎重に確認すると、私はその電車に乗り込んだ。