第4章 げつようび。
お昼。
食堂でご飯を食べた後、4階に戻る途中だった。
エレベーターが開いた瞬間、横から声をかけられた。
「椎名サン、ちょっといい?」
『どうしたの?月島くん。』
「朝、教えるの忘れたって備品の場所赤葦さんから教わったんだ。
今時間ありそうだから教えておこうかと思って。」
『そうだね?お願いしてもいい?』
「じゃあこっち。」
フロアの奥にある倉庫。
そこを指差し、先を歩く月島くんを私は追いかけた。
「どうぞ?」
『ありがとう。』
ドアを開けてくれた月島くんの横を通り、中に入る。
カチャン
ドアを閉めた音とは別の何かが聞こえた気がして後ろを振り向く。
『…月島くん?』
それは一瞬だった。
月島くんは一瞬で私との間合いを詰め、私は壁に押し付けられた。
「清純そうに見えて、結構遊んじゃう感じ?椎名サンって?」
『どういう…こと?』
私の目の前に顔を持ってきた月島くんはにやりと笑っている。
「ここ。」
トントンと首筋を月島くんの指先が叩く。
「だれに付けられたの?キスマーク。」
すっかり忘れてた。
朝、灰羽くんにつけられた痕。
「飲み会の後、送り狼されちゃった?」
しゅるり
リボンタイが解かれ、
ぷち、ぷち
シャツのボタンがはずれる。
「みたいだね。」
点々と付く赤い華。
土曜日、朝着替えに戻った時、鏡に映る自分の姿にびっくりした。
胸元に数えきれないくらい赤い華が散っていたから。
一応注意はしたんだけど、結局朝もつけられたし…
油断した私が悪いんだけども。