第4章 げつようび。
ぎっちぎちの満員電車に乗り、辿りついた最寄り駅。
駅から5分。
そこそこ賑わう街中に私が勤め始めた会社…HQ商社があった。
金曜日に渡された社員証をカードリーダーに通す。
エレベーターに乗り、押すのは4階。
下から、事務、1課、2課、3課、4課、食堂。
私は3課なので4階。
4階に着くとまだだれも…いや、1人いた。
「おはよう、椎名、灰羽。」
『おはようございます。』
「おはようございます。」
赤葦さん。
流石というかなんというか。
今日は始業40分前には入ったのに、それより早い。
『赤葦さん、早いですね?』
「きっと誰か早く来るんじゃないかなって思ってね。まだ、オフィス内説明してないから困ることあるかなって。」
『本当にありがたいです。』
そんな話をしていると「おはようございます。」と、月島くんもオフィスに入ってくる。
『おはよう月島くん。』
「おはよう。椎名サン。金曜日はちゃんと帰れた?」
『まあ、一応…』
「俺ちゃんと送って行ったし!」
「ふーん…」
私から目をそらし、デスクにカバンを置きに行く直前。
気のせいかもしれないけど、
月島くんの口の端が
少しだけ持ち上がったような気がした。
あれって思って見直した頃には、私に完全に背を向けていたから口元どころか表情さえもわからなかったんだけど…