第18章 side KEI TSUKISHIMA
side灰羽
ぱたん
入り口のドアが閉まった。
と、同時に我慢していた涙が溢れ出した。
一度泣いたら止まらなくて、ぼろぼろ泣いた。
泣いて泣いて、泣きすぎて頭がいたい。
やっと涙が止まって目元を冷やそうとアイスノンを取りに冷凍庫を開けたらまた涙が溢れた。
俺が好きなおかずがいっぱいあった。
ちゃんとどのくらい温めるとかこれとこれの組み合わせがバランスがいいとか。
彼氏でもない俺のためにこんなことしてくれるなんて。
本当に梢は優しすぎる。
その後ネットで調べたら目元は冷やすより温めたほうがいいって書いてたから蒸しタオルを作って目元に置いていたら枕元に置いていたスマホが鳴った。
着信…?
誰だ?
俺は画面もろくに確認しないまま電話に出る。
「もしもし。」
「お!リエーフ今暇ー?」
底抜けに明るい声。
1課の同期の日向だ。
「なにー?日向ぁ。暇っちゃあ暇だけど…」
「だったら飲まねえ?影山と谷地さんと犬岡と金田一と…えっと…とにかく同期で集まれる奴らで飲んでるんだ!」
どうしようか…
まあ、今は1人でいると落ち込むばかりだし…
だったら知ってる奴らとわいわい飲んだほうが気がまぎれるか。
「日向?行く行く。どこで飲んでる?」
「梟谷の駅前。駅ついたら迎え行くから連絡しろよ!」
「りょーかい。俺、失恋直後だからグダグダに絡んでやるからな。」
電話を切り、パーカーを羽織るとボディバッグに財布を放り込む。
そして、スマホをポケットに放り込むと、俺は想いを吹っ切るかのように外の世界に飛び出した。