第18章 side KEI TSUKISHIMA
必死で走った。
こんなに走ったの何年ぶりだろう。
足がもつれそうだし息が切れて苦しいし…
自分の体力不足をものすごく感じたけれど、そんなことかまってられない。
走れば街灯の下に小さな背中が見える。
行かなきゃ。
行かなきゃ。
つたえなきゃ。
僕、こんなキャラじゃない。
熱くなるようなことは嫌い。
無気力でいたい。
常に全力なんて馬鹿みたい。
でも、今回はダメみたいだ。
いつのまにか僕は梢無しじゃダメになったみたいだ。
あと50m
30m
20m…
項垂れるように下を向く華奢な体を、
僕はぐっと抱きしめたんだ。
「捕まえたっ!」