第18章 side KEI TSUKISHIMA
鶯谷駅から徒歩で数分。
半個室に区切られた席の一つに僕達は案内された。
明日は休みだし…と僕はまず、カカオフィズを頼む。
梢は酔うと大変だからとノンアルコールを頼ませた。
料理は好きなものを好きなだけっていうスタイルでお互いに食べたいものを注文した。
確かに梢が入っていたように、魚…特に刺身は美味しかった。
他にも焼き鳥だったり天ぷらだったりを少しずつ頼んで美味しかったら進め合う。
そんな感じ。
ちなみに食事中の話はほとんどが仕事の話。
まあ、そうだよね。
他にはぽつりぽつりと高校の話や大学の話。
そんなことを話していれば、もう時間は遅い。
外は真っ暗だ。
僕は空になった皿を見て、呟いた。
「そろそろ出ようか。」
『っ…ちょっと待って?』
そう言って梢は店員を呼んで何かを頼んだ。
不思議に思っていればそれはすぐに運ばれてきた。
「お待たせしましたー!アプリコットフィズです。」
店員が部屋から出ると、梢はぽそり、僕に話し始めた。
『カクテル言葉って知ってる?』
カクテル言葉。
いつだっけ…
バーで飲んでいた時に及川さんが言っていた。
「まあ…」
『じゃあ…アプリコットフィズのカクテル言葉…は?』
顔を赤らめ、梢は僕に聞こえるギリギリの声で呟く。
「ちょっと待って。」
前飲んだ時にアプリコットフィズのカクテル言葉を聞いたはずなんだけど…
どうしても思い出せなかった僕はスマホを出すとカクテル言葉を探した。