第17章 side HAIBA LEV
タクシーが来ると、俺は女の子と2人で乗り込んだ。
行き先を告げると走り出す車。
流れる景色を見ながらふうとため息をつくと右腕に違和感。
ちらり、横を見れば、顔を赤らめ恥ずかしそうにしながら俺の腕に手を絡ませもたれかかる女の子。
好意があることは丸わかり。
だって、普通好きでもない男の腕におっぱい押し当てないでしょう。
「あの…ね?私、前から灰羽君のこと、好きだったの…」
そう言いながら背中をしならせ俺を見る。
昔は女の子を悲しませたくなくて、誘われたらシてた。
だけど、今は違う。
告白されてもセックスアピールされても、不思議と気持ちがなびかない。
思い出すのはやっぱり梢の事。
「だめだ…」
迫る彼女の肩を押す。
「灰羽…くん?」
「ごめん。俺、好きな子がいるんだ。
優しくて可愛くて、自分の気持ちに素直になれない不器用な子でさ…
その子はさ、他の男が好きなんだ。
俺なんて見てくれないのわかってるんだけど、諦められない。
その子が、頭から離れないんだ…」
そう、気持ちを吐露すれば彼女は俺の手に自分の手を重ね、寂しそうに笑った。
「気持ち、わかるよ?
だって私もそうだもん。」
はっとした。
俺は、今の俺と同じ思いを目の前の彼女にさせているんだ。
「ごめ…「謝らないで?余計苦しくなっちゃうから。」
俺は、さらさらのセミロングの髪の毛をそっと撫で、感謝の言葉に言いなおした。