第17章 side HAIBA LEV
いつのまにかお開きになったらしい。
べちべちと頬を叩かれ目を覚ますと、中山が呆れ顔で笑う。
「飲めねーもん飲むからだよ。タクシー呼んでるから方向一緒の方のやつと帰れって。」
「…わかった。」
幹事に勘定を渡し、ふらふらと外に出ると遠くから名前が呼ばれる。
知らない女の子。
…いや、見たことあるような……
そうか、梢に似てるんだ。
「私、灰羽くんと同じ方向みたいなの。一緒に帰ろ?」
「…わかった。」
「おうちの住所言える?それか住所わかるものある?」
「言えるから大丈夫。」
「…そう。」
女の子は寂しそうな顔をして顔を伏せた。
余計なこと、考えたくない。
俺はそれに気づかないふりをして壁に寄りかかり、そっと目を伏せた。