第14章 旅の終わり。
ふと目を覚ませば、2人は何か話をしているようだ。
ボソボソと声が聞こえてくる。
何、話してるんだろう。
耳を澄ませば、かたかたとキーボードを打つ音と仕事の話。
体を起こせば2人は先ほど話をした机でパンイチで話をしてる。
まあ、下着履いただけマシなのかな…
私が起きたことに先に気づいたのはリエーフくん。
私を見るとにかりと笑う。
「梢、体大丈夫?」
『なんとか…』
「椎名サン、ちょっと…」
完全に仕事モードらしい月島くん。
私を呼び、パソコンの画面を見せる。
私は近くにあったバスローブを着ると月島くんの隣にしゃがむ。
「ここって女性目線で見るとどう?」
画面を見つめ、少し考えると自分のカバンから紙とペンを取り出し頭の中に浮かんだものを書きなぐった。
『ここはこうした方が…直接打ち込んでも大丈夫?』
私が書いたものを一読すると月島くんはこくりとうなづいた。
了承を得た私はパソコンを自分の方に向け、入力する。
2人とも、私が打ち込むのをじっと見ながら話を始めた。
「やっぱり…さっき言った通り…この方が男女どちらのウケもいいか。」
「でも…さっきの方が統計的にはいいはず!」
『じゃあどっちも取り入れて………こうかな?』
どちらの案も通るようにうまく手直しをすれば、2人はふうと息をつく。
「ありがとう、梢。助かった。」
「本当、こういうの上手いよね、椎名サンは。」
『まあね。…って2人ともちゃっかり仕事してるし。』
そう、むくれるとリエーフくんが困ったように笑う。
「だってやることなくて…」
まあ、私がダウンしたらやることなくなるのは当たり前か…
ぱたり。
ノートパソコンを閉じる音がする。
と、床にしゃがんでいた私の体が宙に浮き、私は月島くんの膝の上に乗せられた。
「キミはこっち。」
そう囁いたと思ったら、月島くんは私を後ろからぎゅっと抱きしめた。