第12章 社員旅行。
「まーた悩んでんのか椎名はー。」
「スガ、その言い方は失礼だぞ?」
いつのまにか菅原さんの同期の澤村さんまで横にいる。
「あんまり溜め込むのよくない!話せるなら話してみれば?楽になんべ。」
「っていうか椎名…さんってバスで具合悪くなってたよな?大丈夫か?」
『ただの軽い貧血なので大丈夫です。』
「無理しないで席戻ってな?」
澤村さんが心配そうに言えば菅原さんが私の手を掴む。
「じゃあ俺が連れて帰る!大地、ビールよろしくー!さーいくべいくべー!」
『えっ!ちょっと菅原さん!』
私の意見なんて聞きもしないで3課の方へと強制送還。
「おーい、黒尾、木兎。具合悪くしたやつにお酌回らせてんじゃねーよ。」
「お、スガじゃん!椎名連れてきてくれたん?さんきゅーなー!」
「俺たちも社長とかに酌しに行ったらいつのまにかいなくなっててさー。助かったわ。」
ほら座れーと黒尾さんに半ば強制的に座らせられる私。
の膝に頭を乗せてくる菅原さん。
『菅原さん…?』
「やっぱり女の子の膝枕、サイコーだべー!」
「スガいいなー!」
「木兎余計なこと言うなっての。
スガくん、この子彼氏持ち。そのうち帰ってきちゃうよ?彼氏。」
そう、黒尾さんに告げられた菅原さんはまじかーと大げさにショックを受けたようなリアクションをして頭を上げた。
「でもさ…」
ぽんっ
意外と男らしい手が私の頭をぽんと叩く。
「あんまり考え込むよりシンプルに考えたほうがうまくいくこともあるんだからな?」
わかったか?なんて優しく言われ私はこくりと頷いた。
じゃあなーと去っていく菅原さんと入れ違いに帰ってきたのはリエーフくん。
「梢、体調崩したんだから早めに部屋に戻ったほうがよくない?」
私を心配するふりをしてリエーフくんは黒尾さんに部屋に戻る許可を取る。
ついでに自分の分も。
許可が取れたらしく私はリエーフくんに背中を押されながら会場を後にした。