第12章 社員旅行。
服の乱れを整え、こそり、外に出る。
バスが出るまではあと10分。
もうバスに戻っていようかと思っていた時、サービスエリアのフードコートの方から私に声がかかる。
そちらを見ればリエーフくんが軽い足取りでと私の方に近づいてくるのがみえる。
「梢ー!」
『…っ、どうしたの?リエーフくん。』
「はいこれ!」
手渡されたのはこのサービスエリア内で有名なメロンパン。
何度かテレビで紹介されていたから気になっていたものだ。
『買っててくれたの?』
「うん。いつもメシ作ってもらってるお礼!」
まだ時間あるから食べてから行こうぜ‼︎
そう言われベンチに並んで着席し、一口パクリと頬張る。
『んー!おいしー!』
外はクッキーみたいにサクサク、中はふわっふわ。
もうたまらない!
メロンパンを堪能していると、ふいに横から近く顔。
頬をリエーフくんがぺろりと舐める。
「パン屑付いてた。やっぱりうまいな!」
頭をぽんぽんと撫でられながらごちそーさまと言われ、私の顔は一気に赤面する。
『リエーフくん…恥ずかしいよ…』
赤い顔を隠すように俯くと、リエーフくんはそっと耳打ちをした。
「普段もっと恥ずかしいことしてるのに…?」
赤くなった頬がさらに赤くなる。
『リエーフくん意地悪…』
「だって梢、顔真っ赤でかわいい。」
そろそろ戻ろうか?
そう言うとリエーフくんは私の手を引きながらバスに歩き出す。
コツコツとアスファルトを鳴らすパンプス。
繋がれた手は熱くて夏の暑さを感じた。
バスに戻るまで私は下腹部の違和感のことをすっかり忘れていた。