第12章 社員旅行。
全員が集合し、バスに乗る。
「ほら、詰めて乗れよー。」
次々に乗り込む中不意に横から腕を引かれた。
「キミはこっち。」
『えっ?月島くん⁈』
無理やり座らせられた月島くんの隣の席。
リエーフくんがぐるぐる威嚇しているが月島くんは知ったこっちゃないって顔でヘッドフォンを装着した。
「ほら、リエーフ邪魔になってる。」
黒尾さんの一言でようやくリエーフくんは黒尾さんの隣、通路を挟んで横に座る。
ヘッドフォンを使っているから声は聞こえない。
じゃあ…と、私はメッセージアプリを起動させ文章を打ち込み送信した。
梢:どうして私が隣?
メッセージに気づいた月島くん。
すぐにメッセージを打ち返す。
月島:移動くらい静かなほうがいいから。
はあとため息をつきメッセージを返そうとすると、ぶるり、スマホが震えた。
月島:それに嫉妬させたほうが旅行中楽しめるデショ?
ここでも遊ぶつもり⁈
非難めいた目で月島くんを見れば、目線だけをこちらに向け自分の唇に人差し指を押し当てながら
匂い立つような色気のある笑みを私に向けていた。