第12章 社員旅行。
そして当日。
集合場所である新宿駅に着けばちらほら集合している先輩や同期。
到着したら清水さんに着いたことを報告、とのことだったのですぐに清水さんを探すと…
いた。
及川さんが話しかけている。
及川さん、勘がいいからいろいろばれそうで怖い…
「あ、椎名さん。」
清水さんに気づかれてしまったので挨拶をするために私は近くに寄った。
ふわりと微笑む清水さんの隣ではニヤリと笑う及川さん。
「椎名ちゃん、おはよう。」
『おはようございます。清水さん、及川さん。』
「梢ちゃん、おっはよー☆今日も可愛いねー!」
『…あ、ありがとうございます。』
うわべだけのお礼をすると、清水さんが困ったような顔をして私を見ている。
『清水先輩、どうしたんですか?』
「あのね?仁花ちゃん、今朝具合悪くて欠席だって連絡がきたの。
部屋、仁花ちゃん一緒でしょう?だからツインを1人でつかってもらうことになっちゃうんだけど…」
『仁花ちゃん大丈夫なんですか?私はそれで大丈夫ですけど…』
「ごめんね?当日変更になると変更料払わなきゃならないらしくて…
広い部屋でゆっくりして?」
そう呟いた清水さんの元に1課の先輩が走り寄ってくる。
「潔子さーん!ソイソーイ‼︎」
「着きましたよー!ソイソイソーイ‼︎」
1課の西谷さんと田中さん。
清水さんのファンクラブ会員1号、2号。
ちなみに3号は2課の山本さん。
清水さんが一蹴してもめげない2人を見ているとトントンと肩を叩かれる。
そちらを見れば、及川さんが私に向かって笑いかける。
「今日は”どっち”が部屋に行くんだろうね…?」
ぞくり
口元は笑ってるけれど…
目は笑ってない。
この人はどこまで知っているの?
『何のこと…ですか?』
「いーや?旅行、楽しみだねー。」
そう言うと及川さんは丁度きた岩泉さんの方に歩いて行ってしまった。
この旅行、何もなければいいんだけど…