第10章 出張。
メイクを戻し、口の中をすっきりさせ、少しだけ食事をとった後私はオフィスに戻る。
『遅くなりました。』
「構わん。」
牛島部長は知っているのかしら…
さっきのこと。
なんで頭をよぎったけれど、口に出すのを諦めた。
席に着き、自分に回ってきている業務を淡々とこなしたからか、今日はなんとか終業時間までに仕事が終わった。
帰り際、月島くんと一緒に牛島部長のところに行き挨拶をする。
「こちらから本社の方に評価を入れておく。
今回はわざわざすまなかったな。」
ねぎらいの言葉をかけられ、私達は帰路に着いた。
ーーーーーー
『終わったね?2日間、お疲れ様でした。月島くん。』
帰り道、月島くんに話しかけるが月島くんは目も合わせてくれない。
『月島くん?』
機嫌…悪い?
「ねえ……
他のオトコの臭いがする。」
え……
上から私を見下すように月島くんは私を睨む。
『何のこ「精液の臭いがする…って言わなきゃわかんない?」
うそ…
歯磨きもしたし水分も取った。
しっかりメイクも落としてやり直したし香水も改めて付け直した。
それでも隠せていないなんて…
「あ、多分他の人は気付かないと思う。
カン…っていうか臭う感じがする。」
そう言い月島くんが私の腕を取り歩き出す。
『ちょっと!月島くん⁈駅は向こう…』
「着いてきてよ…」
手を引かれ、たどり着いた場所。
それは、ラブホテルだった。