第10章 出張。
天童さんに連れられ着いたのは建物の一番端にある小さな会議室。
ほとんど使われていないのか机が1つだけ立てられ、他には所々に荷物が置かれている。
そんな部屋に不自然に置いてあるロッカーを天童さんはごそごそと漁っている。
『ここ…』
「ここはねー、俺の城。」
城…とは…
不思議そうな顔をしている私に近づく天童さん。
「まあ、仮眠取ったり1人で集中したいときに使う部屋…ってやつ。あとはー…」
気づいたときには遅かった。
首に何かが巻きつく。
触れば皮の感触と金属の冷たさ。
『…首輪……?』
「そ。」
首輪にはリードが付いていて、その先は天童さんの手の中にある。
力任せにぐいと引かれて私の体は天童さんの前にしゃがみ込む。
「こーゆーことする部屋。」
『天童さ…「昨日のこと、言わない代わりにちょっと遊ばせてヨ。」
『何を…』
天童さんは立ちながら私を見下ろす。
それ私は床に座り込み顔を上げる。
「若利くんに午後までには戻るように言われてるから手早く終わらせるヨ?」
そう言いながら天童さんはにやり、イヤラシイ顔で笑った。