第10章 出張。
ざわり
ざわり
街の視線が私を刺す
恥ずかしい
怖い
気持ちいい
怖い
快楽と恐怖に支配された私の身体は自分で動かすことができない。
逃げたい
逃げたい
逃げたい
「はぁ…」
小さなため息が聞こえたと思ったら上からばさりと何かが降ってくる。
それがスーツのジャケットだと私が認識する頃には私の体は月島くんによって宙に浮かされていた。
『あ…の……つき』
「ホテル、戻るよ。」
有無を言わせない口調。
私はスーツに染み付く月島くんの匂いに酔いしれながら、そっと月島くんの胸に頭をもたれさせた。