第10章 出張。
出張当日。
私は、1泊分の小さな荷物と仕事用のバッグを持ち、5時に玄関を出た。
最寄駅に向かえばまばらな人の中にきらきら、お月様。
『ごめんね?待った?』
「別に?」
『朝ごはん買っても大丈夫?』
「僕も…」
コンビニに寄り、軽食と飲み物を買い駅に向かう。
「新幹線代行きは僕が払うよ。だから帰り、出してもらっていい?」
『わかった。』
「席、隣の方がいいデショ?」
顔を見れば目が合う。
熱っぽい、鋭い目。
その目に答えるようにこくり、うなづく。
「新幹線駅までの移動費も出してもらえるみたいだから今日は切符買って?」
『うん。』
「タイトスカートってエロいよね。」
『うん。……えっ?』
「タイトスカートのスリットから覗く太腿ってやけにエロいと思う。」
『なっ…つきしまくんっ!何を…』
きっと私の顔は真っ赤だろう。
そんな私の指に、月島君の指先が触れ、つ…と平をなぞる。
「スカートとストッキング、明日の分ある?」
『あ…るけど…』
手の平をなぞる指はいつのまにか私の指に絡み、繋がれ、引かれる。
私は腕を引く月島君の後を追う。
『つ…月島君。手…』
「スカート、汚しちゃうけど、いいよね…?」
そう言いながら、改札を通るとエレベーターに乗せられる。
密室になった瞬間。
顎を引かれたかと思えば唇を舌でぺろりと舐め、ぽつりと呟いた。
「梢を僕ので汚したい。」
私はこくり、首を縦にふるしかなかった。