第10章 出張。
「俺も行きたかったー!」
私のベッドの上でばたばたと足をばたつかせる灰羽君。
家、行っていい?
そう聞かれたのは家に帰る電車の中。
迷わずいいよと答えた。
冷蔵庫の余り物をちゃちゃっと調理してご飯を食べた後、灰羽君はベッドにダイブ。
『しょうがないじゃない。上司命令だもの。お土産買ってくるから。』
私の枕に顔を埋めていた顔を上げた灰羽君は私を見つめ、ぽつり、呟く。
「浮気….するなよ?」
『するわけないじゃない。』
そう口にしながら私は2人分の食器を持ち、立ち上がる。
キッチンの流し台に食器を置き、洗おうとすると後ろから包み込まれるようなハグ。
『お皿洗いづらいよ?リエーフ君。』
「ねえ、浮気防止に俺のだって印付けたい。」
ねろり。
耳に舌が這い、鼓膜を犯す。
『っ…明日の準備…してからじゃだめ?』
「待てない…ね?梢?」
いいでしょ?
そう耳に声を吹きかけながら灰羽君の指は私の体をなぞる。
『もう…お預けされた犬みたい…
さっきお腹いっぱい食べたはずなのに…ね?』
さっきから背中に当たる大きなモノをそっとジャージ越しになぞれば、細めた瞳が私を射抜く。
「うん。梢が食べたくてお腹ペコペコなんだ。
もう待てない。」
私は灰羽君の緩んだ腕から抜け出すと体ごと灰羽君の方に向くと、ルームウェアを脱ぎ、下に落とす。
上に着ていたタンクトップも脱ぎ捨てるとそっと灰羽君に擦り寄る。
『明日出張だから軽めにね?じゃあどうぞ?』
『食べていいよ?』
灰羽君は下唇をペロリと舐めニヤリと笑いながら言った。
「 いただきます。」