第3章 四十六、笹の露
一口日本酒を口に含んだきりの京楽は,少し展開についていきにくかった。少し落ち着かせる意味も込めて満流の肩を叩き言ってやる。
「こんな隊舎前で飲んでないでさ,可愛いおねえちゃんがいっぱいいるところ行かない?」
「はい!行きます!」
先に威勢よく手を挙げたのは乱菊だった。満流は未だ焼酎を右手に携えたまま,しなを作った。
「えー僕こんなに酔っぱらっちゃった……お化粧も取れちゃってるし恥ずかしいよ……」
思ってもないくせに!と突っ込むと,ばれた―!とまた騒ぎ出した。
「よし,春水ちゃんのおすすめのお店行こ!店潰す勢いで飲むぞー!」
「おー!」
「ちょっと!行きつけの大好きなお店なんだからね!立ち入り禁止になるようなことはやめてよね!」
「まーかーせーてー!」
わーい!と満流と乱菊は,花街に向かって酒を掲げて走り出した。
今日は珍しく僕が介抱する羽目になるのだろうかと思いながら,京楽は手元の日本酒を飲みほした。