第7章 7.過去
帰り道に、高校時代のことを思い出した
あたしには"カナ"っていう親友がいて、
そのカナも翔くんが好きだった。
あたしよりも積極的でおもしろくて、
カナは知らなかった。
あたしが翔くんを好きだってこと。
だから、言ったの。
"翔くんのこと、好きにならないでね?"
だから、この想いも言葉も全て締まった。
でも心は翔くんのことを向いてて、
止められなかった。
だから、卒業式の前の日に手紙を渡した
二宮くんにラブレターを送った子と同じ
気持ちだけ伝えるためのラブレター
『はぁ……』
でも、また彼はあたしの前に現れた。
カナが今どうしてるかは知らないし、
きっと、この先を左右するのはカナじゃない
あたし自身だから……素直な気持ちで……
過去と向き合わないと……
「あー!お姉さん、お姉さん!」