第1章 1.捨て犬
あの子犬を見つけたときも、
確か雨が降ってた日で、、
家から牛乳を持ってきたのを覚えてる
『だ、大丈夫です…か?』
恐る恐るドアの前で座ってる彼に聞いた
「ん…ねぇ、お姉さん?」
『へ?あ、わ…私?』
お姉さんということは私が年上だと断定したな、この子犬め。
「うん。俺のこと拾ってくれません?」
『へ?ひ、拾う…?』
なにを言ってるの、この子は?
なんて思いながら、鍵を探し始めた。
あたしだって大人の自覚はある。
こういうチャラいのは…
「ねぇ、お姉さん」
『ちょっ…///』
なんて言っても若僧は若いわけで、
あたしの手を握ってきた。
オヤジだったら殴ってるところだけど
意外とイケメンの若者だし…
不覚にもドキッとした。
「1時間だけ…お願いしますよ」
『……』
「管理人さんが鍵、届けにくるまで」
『か…ぎ?』
「そう。俺、隣で住むから」
お母さん、お父さん、1時間だけです。
1時間くらいイケメンといたって
許されますよね?