第30章 30.幸せの影
〈バッチコーイ!しまってくぞぉ!〉
家に帰る途中、
近所のグラウンドを見た。
そこには小さな男の子達が野球の試合をしてて、少し二人で立ち止まった。
「うぅわ、やりたいんですけど」
『カズも野球やってたんだっけ?』
「うん。まぁね
大学のときはよく相葉さんと草野球してましたよ」
『へぇ…そうなんだ』
夕日に照らされてるカズの顔はなんだかいつもよりかっこよくて、また胸がキュンとした。
「ん、んぅ~!」
「ん?あ、まり起きた」
『あ、ほんとだ。おはよ』
小さな女の子がカズの胸から起き上がって、あたしのことを見つめてきた。
「ほんと、可愛いな」
『ね、本当に可愛い』
「違うよ。まりもだけど俺の奥さんも」
『え、あ…わ、私ですかか?』
「ふふ、うん。そうだよ。
世界で一番だよ、俺の中では」
そう言ってカズは優しく私の腰を抱きよせた