第3章 オヒメサマ
だけど、私は只の玩具に過ぎないのだから、女中以下の存在で当たり前だ。
「つれませんわね。
人世離れした美貌を持つ王子とはうわさに聞いていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。是非お兄様にもあってみたいものですわ」
「有難うございます。兄にもそう伝えておきましょう。」
そういうと、彼は側近の人にふと目を向けた。それで何かを察したらしい執事が慌ててソフィア王女に話しかける。
「ソフィア様。お部屋はこちらにございます」
「・・・まだ、話していたかったのに。
まったく、気が利かない執事ね。」
ジロリと執事を睨むと、それだけで年老いた執事が身を縮め、そして頭を下げる。
「も、申し訳ありません!」
「・・・まぁいいわ。案内して?」
「はっ」
足音が遠ざかる。
シャラン、シャラン、という鈴の音が聞こえなくなると、それで漸くメリア王子は大きく息を吐いた。
「はあ・・・」
「どうされました?」
思わず聞くと、メリア王子は私に体重を預けるような形で抱擁してくる。思わず彼の胸に顔をうずめる形となってしまったが、それよりも疑問が胸に湧き上がる。
「メリア王子?」
「・・・・他国に敬意を払えなんて、そんなの嘘だよ」
「・・・。」
「いいから。部屋戻るよ。おいで」
それだけ言うと彼は私から離れて近くにいた女中に短く命じた。