第3章 オヒメサマ
「暫くは手が離せないから自由にしてて貰うよう彼女に伝えて」
「畏まりました」
恭しく一礼するとその場を立ち去る女中。私は彼に手を引かれるような形で謁見の間を後にした。
◆
「あの、メリア王子・・・」
「んー?」
ツカツカと歩く彼に半ば引っ張られるように歩く私。声をかけても私の方を見る事は無く、彼は真っ直ぐに絨毯の敷かれた廊下を歩き続ける。
「何処へ向かわれるのですか?」
「俺の部屋」
そっけなく答えると、メリア王子はピタリと足を止めた。
隣には煌びやかな宝具が施された、王族らしい一室の扉が目に入る。
「あーあ、アンタのせいで疲れた」
「私のせいで、ですか?」
「アンタがやるべきだって言ったから面倒な識見もやったけどさ・・・思った以上につかれた」
「お疲れ様です」
「うん、さんきゅ。
でもさ、それなら・・・俺のこと、癒してよ」
ドアを片手で押し開け、広い寝室があらわになる。メリア王子は私の腰を抱いて中へと入ると、後ろ手で扉を閉めた。
「癒す・・・ですか?」
「そ。・・・アンタならわかるでしょ、癒すって言葉の・・・意味」
メリア王子の瞳が妖艶に揺れ、私のことを試すように言った。
「・・・わかりました」