• テキストサイズ

セックスと、秘め事。

第2章 *名前















スフィアと同じ色の瞳が、私を見つめた。

・・・誰だろう。

薄いシーツを身に纏った私にわかることは、ただ一つ。
それは、彼がスフィアではないという事。

「ふぅん、兄さんにしては面白いもの拾ってきたね」

ハスキーで、中性的な声。
雪がちらちらと舞う景色を背負うように立った彼が、悪戯気に笑う。外の窓枠に降り積もる雪がなんとも幻想的に映り、彼の雰囲気にあっている。


ーー私に何の用だろう


思わず疑問を抱いた私に、彼が短く聞いてくる。

「アンタ、名前は?」

「と言います」

「!」

彼の瞳が驚いたように短く瞬かれる。
スフィアと同じブロンズ色の髪と、碧い瞳が印象的な彼は、そのまま数秒黙り込むと、はぁとため息を吐き、そしてまぶたを閉じた。長い睫毛が月光に映されて、白い肌に影を落とす。


「いい名前だね」

「そうですか?
確かに、この国ではあまり見かけませんが」

「いい名前だよ、なんていったって「メリア王子!!」」


バンッ、という扉の開閉音が聞こえ、次いで焦燥を露わにした侍従が部屋に転がり込んでくる。言葉を遮るようにされた彼・・・メリアと呼ばれたその人が、苛立ちを隠さない様子で口を開いた。


/ 30ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp