第2章 外装
「ふぅん…。そっか」
「…」
「じゃ、何かちょーだい」
「…エ?」
「ほら。あるでしょ?指輪とか。永遠を誓うもの」
「…指輪、すんの?」
「しない」
「・・・」
「だから、何か他のもん」
「ええ~?他のって…なに?」
「そこは。考えてよ。それも含めての、でしょ」
「え~…」
「モノによっちゃ、考えてあげてもいいよ」
「えええ~…?」
ちょっと釈然としない顔になって
でも、すぐに『何かってナニ??』って悩む方の顔になって
この理不尽さより、すでにそっちに脳ミソが持ってかれてる
それだけで
俺はもう
全然
とっくにリフォームされてた
だから
まさか本当にくれるとは思わなかったよね
誕生日でもなんでもないのに、だよ?
「…え?」
「見て。俺とね、おそろい♪」
「う、うん…」
「ちゃんと使ってよ?」
「…うん」
たぶん、違うんだろう
こないだの、そういうアレじゃないとは思う
だって
翔ちゃんの誕生日プレゼントにって選んだもののおこぼれだもん。
まあ、さすがに翔ちゃんにはカッチョイイのをあげたみたいだけど
ついでに自分のも古くなってたからって新調して
さらに俺も同じの使ってたからって、俺の分まで買ってくれて
外でも使えるように、地味な色を
しかもおそろい
の
スリッパ。
ルームシューズ?ま、室内用なのよ。基本。本来。
でも外でもそんな違和感ないヤツっていうか
俺は愛用してて
で、ヤツも愛用してて
突っ込まれようと、アウトシューズにしてて
まあ、それの新しいのってだけなんだけど。
だから
まさかコレが指輪代わりってことはないと思うんだけど
ていうかそこまで深い意味はないと思うんだけど
うん
とりあえず
「…どうも。ありがとうございます」
「ん♪」
助かります。非常に助かってます。
ホント俺、誰かの貰いモンで成り立ってるんで。ええ。
見ての通り
外も
内も
2016/3/5