第1章 内装
え~…
私、二宮
失恋しました。
というか、まあ
いわゆる強制終了されて
俺は何もできなかった
守ることも
保つことも
ただ
俺が俺であるために
“余計なもの”は容赦なく排除されて
残ったのはこの抜け殻と
未だ彼女を想う未練だけ
悲しい?
悲しいよ
つらいし
もう嫌だって思う
毎回
なのにまた
知らずに人を好きになる
誰かに執着して
欲して
殺がれて
繰り返しても
何度繰り返しても
一人でいいって思ってるはずなのに
涙すら出てこない
空しさに
支配されて
もう
もはや
自分すら
「カズ」
「っ」
怖いくらい、いつの間にか隣に居る
いつから
いや
いつも
隣に居る
俺が寄ってってるのかもしれない
自然に
「なに」
「…」
名前呼んどいて
ただ見てるって
何だよ
気安く呼んでんじゃないよ
俺はおまえのモンでもなんでもな――
「俺じゃ、ダメか」
「…」
は?
「…えーと?」
「…」
「ナニが?」
「俺は、いるよ」
「…」
「ずっと」
「…」
「おまえの隣に。いる。から」
「…」
「だから」
「…」
「…」
だから
なによ?
…ったく
相変わらずヘタクソだな