• テキストサイズ

〜Petite Story〜

第21章 -ポラロイド-(黒尾鉄朗)


「ハッピーバースデー!クロー!!」

頼んでいたバースデーケーキのプレートセットをお店の人が持ってきてくれた。

今日はクロの誕生日。
盛大に皆でカラオケでバースデーパーティだぁ‼︎って思ってたのに、クロが2人でいい…って言うから、2人きりでカラオケ。

今までも2人きりで遊んだコトはあるけど、”誕生日に2人きり”…って思うとなんだかソワソワしてしまう。

でも、そんなコト思ってるのは、もちろんわたしだけ。

「記念のポラロイド撮ってもいーですかー?」

「はーい。」

「えっ⁈」

お店の人がポラロイドカメラを構えて尋ねてきて、なんだか恥ずかしいし、わたしは迷っていたのだけど、クロは即答した。

写メだってプリクラだって撮ったコトあるのに、”誕生日”ってだけで、急に意識しすぎてしまう。

「撮りまーす…あ、もう少し彼女さん寄ってください。」

「ほら、寄ってくださいだってよ?彼女さん♪」

「彼女さんじゃないのにー」

本当はすごく嬉しかった。
彼女じゃないのに、ドキドキした。

でも、やっぱり恥ずかしくて、拗ねたようにクロのほうに寄った。

「撮りますよー。ハイ、チー…」


「…っ⁈」


「ズッ‼︎」



カシャッ…



「確認してもらえますかー?」

撮り終わったポラロイドをお店の人に見せられたクロはオレがイケメンなんでOKです〜とご機嫌で返事をしていて、それを聞いたお店の人は、笑いながら、帰りに渡しますねーと言って、部屋を出て行った。

「あ、きづなも一応可愛かったからな(笑)?」

「一応って、なにそれー(笑)?」

わたしがポカンとしていると、いつもの感じでクロが話し掛けてくれたので、わたしもいつもの感じで返す。

「彼女になってくれたら、”一応”取ってやるよ(笑)」

「…っ⁈あ!ほ、ほら、歌う時間なくなる‼︎」

クロのことばに耳まで赤くなるのがわかり、わたしは咄嗟にはぐらかしてしまった。

そのまま何事もなかったかのように歌い続け、帰り際に先ほどのポラロイド写真を受け取った。

「よかったらメッセージお書きください。」

お店の人にペンを渡される。



なんて書こう…


わたしはクロに背を向けて、メッセージを書いた。


/ 122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp