第20章 -抱き締める-(青峰/黄瀬)
((黄瀬涼太))
「なーにスネてんすか?」
「スネてなーい!」
涼太がモテるのはわかってるし、束縛したくない…でも、やっぱり涼太が女のコに囲まれて鼻の下伸ばしてるのを見るのは、気分のイイものじゃない。
「じゃ、オレもう先に帰るっスよ?」
「…っ⁈」
冗談のような本気のような…どちらとも取れない涼太のことばに、ただ涼太を見つめてしまい、何も言えなくなってしまう。
理由も言わないでスネてるだけ…ワガママばかり…こんなんじゃいくら優しい涼太でも嫌気がさすよね…。
「…っ⁈(可愛い目で見ちゃって…)なーんスか♪?」
「…っ⁈」
それでも、涼太はわたしの顔を覗き込み、優しく頭を撫でてくれる。
「素直に言えたらご褒美あげよっか?」
「…ご褒美?」
思わぬ涼太のことばにわたしはちょっとだけ涼太に目を合わせた。
「…♪(やっぱ可愛い)うん。で?なーにスネてたんスか?」
「それは…その…涼太が…女のコに…たくさん…囲まれてて…わ、わかってるんだけど‼︎でも…」
「よくできました♪」
…ギュ。
突然涼太が抱き締めてくれる。
「ご褒美♪ゴメンね。でも、オレが好きなのはきづなっちだけっスよ?」
「涼太…」
「いっぱいいっぱいあっためるから…オレの気持ち…受け止めてほしいっス。」
優しい優しい涼太に抱き締められると、わたしのモヤモヤはあっという間に消えていった。
---End---