第20章 -抱き締める-(青峰/黄瀬)
((青峰大輝))
「なんでそっち行くんだよ⁈」
「だって‼︎」
青峰クンとわたしの距離は約5メートル。さっきまで膝枕していたのが嘘のような距離。
「”だって”なんだよ⁈」
「自分のしたこと忘れたの⁈」
ココは学校の屋上…つまりは青峰クンの城なのだけど…
そんな寒い寒い青峰クンのお城に呼び出されたと思ったら、膝枕をせがまれ…まぁ、膝枕はしちゃったんだけど…その後…青峰クンは事もあろうにわたしの胸に手を伸ばしたのだ。
「目の前にあったら、そりゃ触るだろ?」
「人の胸を山みたいに言わないでー!」
「つぅか、さみぃ!こっち来いって!」
わたしの抗議を物ともせず、青峰クンはわたしを手招きする。
「やだー!行かないってば‼︎」
わたしはプイッと顔を背けた。
「来いよ。……オレがさみぃんだよ!いいから来い!」
「…っ⁈」
相変わらずの俺様発言なのに、なんだかその言い方が可愛くて…わたしは青峰クンのそのことばに引き寄せられるように、黙って青峰クンの前に行った。
「おせぇよ。」
…ギュッ。
青峰クンが力強くわたしを抱き締めてくれる。
「あったかい…」
「だろ?」
「うん。」
「きづな…ずっとオレの中にいろよ…」
これは告白⁈
青峰クンの甘いことばへの返事の代わりに、わたしは青峰クンのあたたかさを確かめるように、青峰クンの背中に腕をまわした。
---End---