第17章 -歓喜-(黒尾鉄朗)
「きづなさん、大丈夫っすか?」
「だからぁ…ぐすっ…泣いてないってばぁ…」
「オレの胸で泣きます?泣きます?」
ボール籠をガラガラしながら、リエーフが両手を広げてくる。
「いいってばー!」
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『クロ、オレもう大丈夫だから、行ってやれば?』
『何がー?』
『そうだな。じゃなきゃ、そろそろリエーフに持ってかれるな。』
『……。』
『きづな、そろそろ止めないと泣きすぎて目腫らして明日練習休むとか言い出すぞ?』
『…わーったよ。お前らが言うから行くんだからな。』
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「はいはい。そこまでな!」
「「クロ/クロさん⁈」」
リエーフに抱き締められそうになっていると、リエーフとわたしの間にクロが入ってきた。
「きづな、泣きすぎ。おらっ…」
「…っ⁈うわっ…ちょっ…やぁっ…」
クロがタオルで涙を拭いてくれた。
「クロ!このタオル、汗拭いたやつじゃないのー⁈」
「バーカ‼︎オレの勝利の汗だぞ⁈いーじゃねーか!」
「やだーぁ!」
わたしが離れようとすると、クロはわたしを抱き寄せ、頭をポンポンとしてくれる。
「嬉し涙はまだ取っとけ。」
「…‼︎」
「春高これからだろ?全国制覇した時は目腫れんの気にしないでおもっきり泣けよ?」
「…うんっ‼︎」
わたしは思わずクロにギュッとしてしまう。
「…っ⁈」
「あー!クロさんズルいっす!」
「クロ。公共の場だから。」
「あっ!えっと…」
リエーフと研磨の声で我に帰り、わたしは慌ててクロから離れた。
「(ちぇっ…余計なコトを…)」
「きづな、明日休むなよー!」
「はは。大丈夫だよな?」
「きづなさん休んだら困りますっ!」
「きづなさーん‼︎泣かないでくださいっ!」
やっくんに海クン、芝山も山本も福永も、いつのまにか皆集まってきた。
わたしはもう一度涙を手で拭った。
「皆、おめでとうっ!春高も頑張ろ!わたしもマネージャー頑張るっ!」
「おう!」
「ぜってぇ勝つぞ!」
皆それぞれ気合を見せてくれ、本当に頼もしいな…と思う。
「きづな、明日からもよろしくな。」
…っ⁈
そんな中、クロはわたしの耳元でこっそり囁くと、皆をまとめていつもの主将の顔になっていた。
---End---