第12章 -久々に会えて-(黒尾鉄朗)
「何やってんだ?」
昼休憩で飯食って、体育館で軽く動くかなーって、近道するつもりで校舎の裏を通ると、中庭できづなちゃんがポツンと1人でベンチに座っていた。
「あ…クロ…!うん!ちょっと…休憩?」
「ふーん。休憩ってわりには、休めてなさそうな顔だけど?」
「…‼︎ちょっと暑かったからかな。わたしは動いてないのにね。」
きづなちゃんは苦笑いしながら、額の汗をタオルで拭いて、オレに話し掛けてくる。
「クロは?大丈夫?」
「オレ?オレよりきづなちゃんのが大丈夫なのー?」
「え?」
ポカンとした口元をタオルで隠しながら、きづなちゃんはオレを見上げる。
「カラ元気丸出しー!」
ピンッ‼︎と軽くデコピンをしてきづなちゃんの頭をポンとして、話し続ける。
「どうした?なんかあった?」
「…なんでわかるの?」
「黒尾さんはなんでもわかっちゃうんです♪」
なーんて。
そりゃ、なかなか会えないきづなちゃんを合宿中はつい見てるから…とは言えねーよな。
昨日から始まった合宿。久々に会ったけど、きづなちゃんはいつもより落ち着きがなかった。
でも、そんな感情は隠し、余裕たっぷりできづなちゃんを見つめる。
「あ、でも、なんかあったとかじゃなくて、緊張して…その…眠れてなくて…。ダメだね。マネージャーが自分の体調管理できてないなんて。」
「緊張?ただの合宿なのに?」
「う…ん。そうなんだけど…」
きづなちゃんは俯いてしまう。
「これから暑くなるし、少し休んどけよ?木兎に言っといてやるからさ。」
オレはそう言ってきづなちゃんに背を向け、歩き出そうとしたが…
…ギュ。
…っ⁈