第10章 -夏祭りと告白と-(臼井雄太)
「でも、オレ、さっきも言ったけど、しつこいですよ?」
「臼井くん…」
「だから、今から付き合おうが、オレが卒業してから付き合おうが同じだと思うんですけど?」
ニッコリ微笑み、オレはきづなさんの顔を覗き込む。
「ふふ…付き合うこと…前提なの…?」
きづなさんはからかうように言うが、表情は真っ赤なままだ。
「ダメですか?」
「…」
きづなさんはオレの問いに必死で何かを考えているようだった。
「じゃあ、こう言えばいいのかな?」
「…⁇」
「今年は絶対全国大会優勝する。そのためにきづなさんがそばにいてくれたほうが心強い。だから…」
オレはきづなさんを抱き締めた。
「今すぐ…オレと付き合ってください。」
きづなさんはしばらくオレの腕の中で動かず、何も言わなかった。
さすがに気になり、きづなさんの顔をまた覗き込むと、きづなさんは困惑したような照れたような表情をしていた。
「臼井くんてこんなに強引だったっけ…?」
「知りませんでしたか?」
「サッカーだけかと思ってたよ…」
そう言うときづなさんはギュッとオレの背中に腕を回してくれる。
「ありがとう。全国大会…優勝してね。臼井くんの一番近くで…応援してるから。」
そして、小さい声でやっとオレがほしかったことばを言ってくれた。
「わたしも…臼井くんが好き…」
---End---