第45章 -誕生日-(及川徹)
"どぉしよう…やっぱり送れない…(>_<)"
あと3分で7月20日の0時になってしまうのに、わたしがLIN◯を送った相手は、7月20日が誕生日の及川ではなく…岩泉だった。
"何がだよ?"
岩泉も及川にLIN◯するためなのか(たぶん違うけど…)送ってすぐ既読になり、返信がくる。
"及川…"
"つぅか、送る相手間違えてんだろ"
"間違えてないよ"
"誕生日おめでとうって言えない…"
"なんでだよ?送りゃいーだろ?"
"だって及川にLIN◯送るコなんていっぱいいるし"
"そんなの昔からだろーが!"
"それはそうだけど…"
"まだ怒ってんのかよ?"
"怒ってるわけじゃ…"
及川と岩泉とは中学の頃からなんていうかウマが合って、仲良かった。
及川は中学の頃から当然のようにモテていたけど、ちょっと自惚れ…自意識過剰かもしれないけど、周りから「付き合ってるの?」と言われたり、「あ、及川の嫁さん!」とか言われるコトもあったり…及川とはそれなりにいい感じ…だと思っていた。
でも、先週の月曜日…部活オフの日、及川のほうから「買い物付き合ってー」って言ってきたのに、ドタキャンされてしまった。後から友達に「及川、女のコとカフェにいたよ」と聞いた。
及川は、ドタキャンのコトはすごい謝ってくれたけど、理由は話してくれなかったし、気になるコいたんだ…やっぱりわたしの自意識過剰だったんだ…って思ったら泣きそうになって、その日以来、及川とは話していない。
"及川、気になるコいるみたいだし…"
"なんでそうなるんだよ?"
"つぅか、0時過ぎてんぞ⁈"
"うん"
"もういい…諦める"
"スタンプ送るくらいしてやれよ"
"だから、ムリだって…"
岩泉は、こんな調子でウジウジしたわたしに1時間ほど付き合ってくれた。
ほんといい奴すぎる…。
岩泉を好きになればよかったな…。
"ごめんね、こんな時間まで付き合わせて"
"あいつ、待ってるぞ?"
"待ってないよ。そんな決めつけちゃダメだよ"
"決めつけてんのおまえだろ?"
岩泉のことばにハッとする。
たしかに及川がドタキャンした理由は、及川からちゃんと聞いたわけではなく、わたしの憶測だ。
明日…朝一番で…及川におめでとうって言おう…
"そうまわら…"
"あ⁈"