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〜Petite Story〜

第44章 -我慢-(宮治)


「見て見てーー♪」

階段上る足音がツムより軽かったし、たぶんきづなやとは思っとったけど、きづなは相変わらずノックもせずにオレらの部屋に入ってくる。

「ツムならおらんでー?」

ツムおらんし、オレがエロ本でも読んでたら、こいつどないな顔すんのやろ…

「知ってるよ?さっき玄関で会ったもん。」

「じゃあ、何しに来たん?せっかくツムおらんし、オレは飯の時間まで静かーに寝よ思っとったのに…」

きづなが来たから、しかたなくきづなの方にくるりと寝返りを打って目を疑う。

目に入ってきたのは、ウチの制服のスカートときづなの太腿だったから…

「稲荷崎の制服できたから、治くんに見せよーと思って♪可愛い?」

きづながさらに近づいてくるので、寝っ転がってるオレにはさらに中が見えてしまいそうになり、一応顔を背ける。

「あーかわいーかわいー。」

「…棒読みーー!侑くんは可愛いって絶賛してくれたのにー」

最近、きづながツムの名前を出すといちいち腹が立ってくる。

「ツムが褒めたんなら、もう十分やん。」

昔から、きづなはツムとはよう言い合いしとるけど、オレよりツムに懐いとる。

「治くんに褒めてほしいんだもん。前に中学の制服より高校の制服のが大人っぽくて好きって言ってたでしょ?」

そんなん…我慢するための口実に決まっとるやんか。えぇ加減気付け…って、気付かれんのも…イヤやなぁ。
きづなはツムのコト好きやのに気まずすぎる…

「制服が大人っぽくても中身がお子ちゃまやったら意味ないわ。」

「〜っ‼︎もう4月から高校生だし大人だもん‼︎…きゃっ…」

「…っ⁈おい⁈何しとん…⁈」

「いったぁ…ゴメ…」

ベッドの前で躓いたきづながあろうことかオレにダイブして抱きついてきた。きづなの顔が目の前にあるし、何よりせっかく目を背けたスカートの中身が丸見えになってしまっとる…。

「…ピンクなんや?」

「え?」

「スカート捲れてんで?」

「え⁈ちょっ…ダメ‼︎」

慌ててスカートを直して離れようとするきづなの細い腰をギュッとして、きづなの動きを封じる。

「治くん⁈」

「きづな、学校でもいつもこんなコトしとるん?」

「え?」
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