第40章 Everyday…
出所してからというもの、暫くは俗に言う“シャバの空気”を満喫しようと思っていた。
智君も、そうすれば良いって言ってくれたし…
でも、実際に何もしない日常ってのは、俺が想像していたよりも遥かに退屈で…
一週間を過ぎた頃には、そんな生活にもすっかり飽きてしまい…
ならばと思って掃除や洗濯、炊事…所謂“家事”に勤しもうと張り切ってはみたけど、長いこと法に携わることしかしてこなかった俺にとっては、どれも苦手な分野でしかなく…
バイトとは言え、外に出て働く智君の負担を軽くするどころか、余計に負担をかける結果になってしまった。
俺はそんな自分に不満を抱えつつも、普通に就職することもままならない自分自身にもどかしさを感じていた。
「前科者」
情状酌量の余地はあったものの、実刑判決を受けた俺に貼られたそのレッテルが、俺の背中に重くのしかかっていた。
以前に務めていた弁護士事務所の所長は、恐らくは岡田の口利きだとは思うけど、事務員としての雇用を約束してくれたが、弁護士資格を持たない、ましてや前科者の俺が、直接ではないにしろ、再び法に携わるなんてこと、許されるわけがないとの思いから、丁重にお断りした。
俺自身、意固地になっていたせいもあるんだろうけど、“元弁護士”のプライドが邪魔をしていたんだと思う。
とっくに“欠格”の烙印を押されているのに…