第33章 Scheme
翔と岡田の話は、中学すらまともに通っていなかった俺にとっては、少々…いやかなり難し過ぎて…
遺伝子がどうとか言われたって、正直意味が分からなかった。
再審請求にしたって、アイツらが言い出さなければ、そんな制度があることすら、俺は知らずにいた。
でも、会う度に自信に満ち溢れて行く翔の顔を見ると、俺は黙って提示された要求に答えるしか出来なかった。
俺のために…
馬鹿な俺のためにすまない…
翔に会ったら、一番に言いたかった言葉…
だけど言えなかった。
アイツはそれを喜ばない、って俺は知ってるから…
俺のために、あんなに見ても分かる程痩せちまったのに…
岡田にしたってそうだ。
あんな無精髭まで蓄えて…
それさえなければ、そこそこいい男なんだが…
格子の嵌った窓から見える僅かな空に、二人の疲れきった顔を思い浮かべてみる。
俺も前に進まないとな…
そうだろ、翔…
俺は熱くなった胸に手を当て、そして壁に刻まれたマサキの書いた文字を指でなぞった。
なあ、マサキ…見てるか?
アイツら必死だぜ?
お前の妹殺した犯人探すの…
きっともうすぐだから…
きっと…