第28章 Regret
それまで座っていた場所から移動して、岡田の隣に腰を下ろす。
松本の顔を正面から見ると、正直怒りが込み上げないわけではない。
コイツが智君を…
ぶん殴ってやりたい…
智君が受けた苦しみと同じ…いや、それ以上の苦しみをコイツにも与えてやりたい…
でもそんなことをしたって、智君の心と身体の傷は癒えやしない…
俺は自然と震え出す手を、膝の上で固く握った。
そして一つ深呼吸をすると、首元を締め付けていたネクタイを緩め、カッターシャツのボタンをいくつか外した。
「大丈夫か?」
どれだけ体面を取り繕ってみても、やっぱり岡田には隠せる筈もなく、岡田が俺の肩を叩いた。
「ん…、ああ、そんな心配すんなって…。大丈夫だから…」
「そっか…、そうだよな…」
そう…、智君をこの手に取り戻すためなら、俺は…
「智…大野さんが相葉さんと揉み合った結果、怪我を負って病院に運ばれた際、手術を担当した医師から、彼は日常的に性的暴行を受けていた可能性がある、と言われましたが、それについて君は何か?」
俺はタブレットをに保存してあった画像を開き、松本の前に差し出した。
「これはその時担当した医師から出された診断書です」
動かぬ証拠…
それを見た瞬間、松本の片眉がピクリと上がったのを、俺は見逃さなかった。