• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第26章 Related


「済まなかった。話の続きを…」

俺のためを思ってのこと…

そう思ったら、目頭が熱くなる。

「ああ…。俺も確認を取ったわけでもないし、井ノ原医務官も明言を避けてたから、これはあくまで”憶測”でしかないんだが…。その時の第一発見者が、松本だったんじゃないかと思うんだ」

岡田の弁護士としての”勘”ってとこだろうか。

ただこういう時の岡田の”勘”は良く当たる。

「じゃあ、それも併せて松本には話を聞かないとな…」

俺が言うと、岡田は”そうだな”と小さく頷いて、ブレーキを踏んだ。

車はいつしか俺のマンションの下まで来ていた。

俺はシートベルトを外すと、後部シートに置いた鞄に手を伸ばした。

「お前、大丈夫か?」

不意に聞かれて、俺は伸ばした手を引っ込めた。

「何が? 俺は何も…」

「いや、そうじゃなくて、松本は大野を、その…守るためとはいえ、レイプしてたんだぞ? それも一度や二度じゃなく…」

「勿論冷静じゃいられないだろうな…。顔見た瞬間、ぶん殴ってやりたくなるかもしれない」

理由はどうあれ、智君を泣かせた罪は重い。

でも…

「俺は大丈夫。心配すんなって…」

確かに身体は穢されたかもしれない。
でも智君の心は、いつだって綺麗なままめ俺の傍にある。

それだけでいい…

「分かった。なら安心だ」

俺は再び後部シートに手を伸ばすと、鞄を手に取り、助手席のドアを開けた。

「じゃあ、また…」

「ああ、また連絡する」

短く言葉を交わし、俺はドアを閉めた。

岡田がアクセルを踏み込み、車が走り出すのを確認して、俺は漸くマンションのエントランスを潜った。


『Related』完
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp