第25章 Confession Ⅱ
新しい環境にも慣れてきた頃、俺の元へ一通の手紙が届いた。
差出人は岡田だった。
当然のように”検閲済み”のスタンプが押された封筒の中には、またしても赤いスタンプの押された便箋が数枚入っていた。
そこには、俺の体調を気遣う言葉や、翔の近況などが延々と書き連ねられていた。
岡田の手紙によれば、翔はあのすぐ後、弁護士事務所に休職願いを出したそうだった。
理由は特に書いてはいなかったが、俺の為にしたことだってことは、その文面からすぐに分かった。
俺は便箋を封筒に畳んで入れると、それを引き出しの中の小さな箱の中に仕舞った。
そして鉄格子の嵌まった窓辺に立つと、そこから見える空を見上げた。
「相変わらずやることが極端なんだよ…」
ポツリ呟くと、自然に笑みがこぼれた。
翔はいつだってそうだ。
俺のこととなると、周りがまるで見えなくなるんだよな…
俺なんかのために、人生棒に振りやがって…
ホントに馬鹿な奴だよ…
俺はフッと息を吐くと、視線を塗装の剥がれた壁に向けた。
「え…、これって…」
見慣れたと思っていた筈の壁に、刻まれた文字…
『サトシ ゴメン アイシテタ』
それを見た瞬間、俺の視界が涙に歪んだ。
確信なんてなかった…
でもそれが、アイツからの…
マサキからのメッセージだということは、すぐに分かった。