第23章 Deep Love
一通り処理を終え、泣きながら意識を飛ばした智君の身体をバスタオルで包んでやる。
身体の中に残った残骸ですら、消えてしまうのが嫌だと言って泣いた智君に、俺はかける言葉すら見つからなかった。
ただ泣き止むまで、ギュッとその震える細い肩を抱いてやることしか、俺には出来なかった。
軽く水気を拭った身体に、新しい下着と寝巻を着せ付け、俺のために用意された簡易ベッドに横たえた。
汗と俺達の吐き出したモノでグチャグチャになったシーツを剥がし、部屋の片隅に丸めて置くと、俺は病室のドアをそっと開けた。
「あの…」
「どうかしました?」
長野さんが、少しだけ赤く染めた顔で振り向く。
「替えのシーツって…」
「え、あぁ…、それならクローゼットの中に」
気まずさからか、俺は長野さんと目を合わせることなく、軽く頭を下げると、そっと扉を閉じようとした。
「大野は…?」
「今は眠ってます」
一旦は閉じかけた扉をまた開き、今度は長野さんの目をしっかり見つめて答えた。
「そうですか。なら安心です」
長野さんが心底安心したように顔を綻ばせたのを見て、俺は静かに扉を閉めた。
新しいシーツでベッドを覆い、智君をそこに移動させると、俺もその横に身体を潜り込ませた。
今夜はこうして抱き合って眠ろう…
俺の体温で、君の冷えた身体を温めるように…
『Deep Love』完