第23章 Deep Love
声一つ上げることなく、智君の細い身体が俺の下で揺れる。
シーツを掴んだ手に余程の力が入っているのか、細くなった腕に血管が浮かび上がっていた。
こんなつもりじゃないのに…
こんな筈じゃなかったのに…
どうして…!
「愛してるのに…、こんなに愛してるのに…」
瞬間、智君の目から、一筋の涙が零れ落ちる。
「しょ…? 泣く…なよ…」
震える指先が俺の頬に触れた。
「泣いてなんか…ないよ…」
泣いてんのは、智君、君の方じゃん…。
俺はそれまで乱暴に打ち付けていた腰の動きを、ピタリと止めた。
そして血の滲んだ唇にキスを一つ落とした。
「もう言わないで…? 頼むから、俺と別れるなんて、もう二度と言わないでくれよ…」
泣き顔を見られたくなくて、筋の浮き上がった首筋に顔を埋め、肩を揺らす俺の背中に、智君の細い腕が力なく回された。
「…言わない。もう、言わないから…。ごめんな、翔…」
まるで子供をあやす様に、智君の手が俺の背中を摩る。
「俺、さ…、ずっと考えてたんだ。俺の存在が、もし翔の負担になるようなことがあれば、そん時は身を引こう、って…」
一言一言を噛みしめるように、ポツリポツリと智君が言葉を紡ぐのを、俺は埋めた肩越しに聞いていた。