第19章 Showing
窓の外が明るくなってきた頃、俺は一つの記事に目を付けた。
それは喜多川建設の記事だった。
智君の事件後、暴力団関係者との癒着を書いたものだ。
喜多川建設が智君のいた施設と関係を持っていたことは、事件が起こる以前から知ってはいた。
智君を喜多川建設に斡旋したのは、施設だったから。
でもまさか、伊藤結のいた施設とも関係があったとは…
しかもどちらの施設も、喜多川建設が設立に携わるだけでなく、多額の資金援助を受けていた。
望まずして施設に入所する子供の数は年々増える一方。
児童養護施設の経営が、国からの補助金だけで賄うのは困難で、どの施設も赤字経営が当たり前になっている。
当然だが、施設設立のためには、それなりの資産と資金援助が必要になる。
ともすれば億単位の資金が…
喜多川建設にとって施設の運営は、決してメリットのある事業ではない筈だ。
なのに何故…?
もしも…
もしも、岡田の言う通り、行く宛を無くした子供達の心情を利用して、売春紛いの行為をさせていたとしたら?
いや、そんなおぞましいことは考えたくはない。
でも、現に侑李はそれを苦に、施設長を刺殺している。
では、伊藤結も…?