第19章 Showing
智君の意識が戻ったと連絡を受けたのは、自宅に戻りシャワーを浴び終えた直後だった。
連絡をくれたのは井ノ原医務官だった。
俺達が病院を後にした直後のことだった、と井ノ原医務官は言った。
駆けつけたかった。
何もかも放り出して、智君の元へ駆けつけたかった。
冷えた指先を、この手で暖めてやりたい…
そう思った。
井ノ原医務官からの電話を切った後かかって来た岡田からの電話。
「会って来いよ」
岡田はそう言った。
でも俺はそれを拒んだ。
智君がそれを望まない、そう思ったから。
彼が俺の温もりを求めて、一人涙を流しているとも知らずに…
俺は闘いのための準備を始めた。
とは言っても、経験も浅い、一介の弁護士でしかない俺に出来ることは極限られていて…
当然だが岡田に頼らざるを得なかった。
俺が証言台に立つためには、俺以外の弁護士の存在が必要だった。
岡田はそれを快く受け入れてくれた。
もっとも、岡田本人は端からそのつもりでいたらしいが。
そして有難いことに、深山さんからも協力を惜しまないとの言葉も貰った。
これで漸く一歩を踏み出せる…そう思った時だった、長野刑務官から連絡が入ったのは…
「相葉雅紀が死んだ」と…