第16章 Limit
「いつまでも寝てんじゃねぇよっ!」
一度は手放した意識を、無理矢理に引き戻される。
「まだまだ終わってないんだよ」
中の塊りが一旦引き抜かれ、身体を真っ二つに裂くように再び捻じ込まれた。
「ぐっ…ぁっ…!」
太腿を熱いモノが伝う。
「ハハ…ハハハ…。泣けよ、もっと叫べよ!」
プルプルと震え、今にも崩れそうになる身体を、マサキの手が抱え直し、何度も何度も突き上げられる。
もう全てがどうでもよかった。
真実を訴えたところで、今のマサキには何の意味もなさない。
俺を穿つことで、マサキの苦しみが少しでも消えるなら…
マサキの心の傷が癒えるのなら…
俺が受けている痛みなんて…
「…お前の気が済むま…でや…れよ…」
マサキの気が済むまで…
「はあ? お前、何言ってんの? 冗談じゃないよ」
俺の中のマサキが乱暴に引き抜かれ、痛みに硬直した身体が畳の上に投げ出される。
後ろ手に回された腕の拘束が解かれ、仰向けに転がされた俺の腹の上にマサキが跨った。
その手にはあのドライバーが握られていた。
殺される…
瞬時に悟った俺は、痺れの残る腕を振り上げた。
俺の腕は見事マサキの顔面を捉え、マサキが一瞬怯んだその隙を突いて、俺はマサキの下から抜け出した。