• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第16章 Limit


俺が逮捕されてから、もうすぐ一年が経とうとしていた。

ここでの生活にも、少しずつではあるけど、慣れてきた。

…慣れちゃいけないんだろうけど…

同房の奴らとも、それなりに上手くはやっている…つもりだ。

マサキが結の兄だと知って以降、マサキへの不信感は増す一方だし、俺と松本がドライバー事件の犯人だと見込んだ二宮にしたって、何食わぬ顔で小判鮫の如く松本に張り付いている。

松本とは…相変わらずと言ったところだろうか…。

それでも以前に比べれば、お互いの信頼関係は築けているような気はしている。

俺の一方的な思い込みかもしれないが…

そんな中、俺に届いた一通の手紙。

封筒の表面には『検閲済み』の判が押されていた。

ここでは例え手紙一つであっても、外部との繋がりを持つ物には、全て検閲が義務付けられている。

仮にそれが家族からの物であっても、例外ではない。

封筒の裏面には、見慣れた名前。

翔からだ。

翔とは、あれ以来…ここに面会に来た時以来会ってはいない。

会いたい…

そんな気持ちが俺になかったわけじゃない。

でも一度顔を見てしまったら…

今度は溢れ出す翔への想いを抑え込む自信が、俺には無い。

俺の心はまだ翔に向いたままだから…
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp