第12章 Reunion
俺はスッと息を吸い込むと、それを一息に吐き出した。
「わ、分かったから…言うから、手ぇ、離せよ…」
知らず知らず声が震える。
フッと松本が笑い、俺の顎にかかっていた手が離れて行く。
「で? 聞かせて貰おうか?」
松本が俺の前で胡坐をかいた。
その顔からはもう笑顔は消えている。
「だから、その…お前、何か気付いてんじゃねぇのかな、って…。それにこのことがバレたら、お前、懲罰受けるんじゃねぇの?」
もしかしたら俺だって…
懲罰を受ければそれだけ刑期だって伸びるかもしれない。
それだけは避けなければ…
「それだけか?」
「えっ?」
「言いたいことはそれだけか、って聞いてんだ」
松本が身を乗り出し、少し下から俺を見上げる。
俺は無言でそれに頷いて見せた。
「まあいい…。そうだな、懲罰か…最悪受けることになるだろうな? 俺も…お前もな?
その前になんとかしねぇと…」
松本がまた爪を噛み始めた。
やっぱり松本は気付いてる。
俺の疑念は確信へと変わった。
その翌日…
夕食後の雑居房に、刑務官たちの怒号と、警鐘を鳴らす笛の音が響き渡った。
雑居房は当然だが騒然とした。
そして俺と松本は揃って独房へと放り込まれることになった。
あの薄暗く、すえた匂いが鼻をつくあの場所…
再びあの悪夢のような時間が始まる…
そんな予感が不安となり、俺の身体を支配した。
『Reunion』完